プロコン(Pros Cons)とは?ビジネスでの活用ポイント

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2024.05.08
  • コラム

ビジネス用語でプロコン(Pros Cons)という言葉を聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。組織の意思決定をスムーズにするための思考フレームワークの1つで、ビジネスシーンで使う際は「メリット・デメリット」「賛成意見と反対意見」を全体で絞りだし、より適切な意思決定につなげていきます。コラムではプロコンの活用シーンなどについて紹介します。

プロコンとは

プロコンの正式名称は、「Pros Cons」です。一般的に英単語として認知されていますが、「Pros Cons」は、ラテン語が起源で「賛成と反対」という意味です。
日本では、プロコンと言われることが多く、本来ディベートで用いられる言葉でしたが、賛成・反対、それぞれのポジションに分かれて論理的に議論を戦わせることを意味しています。ビジネスの場では、コンサルティングファームをはじめとした外資系企業で使われることが多い言葉でしたが、現在では、さまざまなビジネスの場で使われています。

ビジネスでの使い方は?

あらゆるビジネスシーンで有効に活用できるプロコンですが、主に活用されるシーンは戦略コンサルティングの現場です。特にトレードオフの局面で大いに活用されます。例えば商品のコストを抑えつつ、品質を高めたいという課題があったとします。しかし、商品やサービスの質を高めるには相応のリスクがかかり、一般的に両方の要望は両立させられません。両立させられない中でビジネスを前に進めるためには、さまざまな議論を重ねてよりより決断に向かう必要があり、このようなシーンでプロコンが使われます。
会議の参加者が、コストをかけてでも高品質を実現することのメリットとデメリットについて意見を出します。またコスト重視で品質を落とすことのメリットとデメリットも自由に出し合います。両方の立場に立って、思い浮かんだことを自由に発言しあうのです。参加者から出された多くの意見を前に、それぞれの意見の優先順位を議論しながら最終的な決断に向かいます。
また、このほかにも新製品の開発や市場進出を考える際にメリットとデメリットを明確にする必要がある新規事業の立ち上げや、異なる意見を持つメンバーが協力し合う場面でプロコンのフレームワークを通じてお互いの視点を理解し協力体制を築く必要があるチームビルディングと組織改善にも用いられます。

ファシリテーションのツールとしても応用できる

参加するメンバー全員で、課題の「賛成意見と反対意見」を、ロールプレイの要領で順番に出していくスタイルが効果的です。たとえば総務部から提示された「営業部署をフリーアドレス化したい」という改善要望に対して、フリーアドレス化した場合のメリットとデメリットをロールプレイの要領で議論します。メリットとしては「個人のデスクや固定電話がなくなり、空間がすっきりする」「相互支援の考え方が生まれてくる」などの意見が出たとします。一方でデメリットつぃては、「メンバーが組織に対して帰属意識が低くなる」「結局みんな固定の場所に落ち着くだろう」などの意見が出ました。そして総合的な判断では、営業部署としては、総務部からの提案を受け容れた方がベター、というメンバー全員の賛成が得られました。自分が感じている本当の見解とは別に、さまざまな視点からメリットとデメリットを出し合い、参加者全体で意見を比較しながらベターな結論と導き出すのです。

プロコンのメリット

ビジネスの意思決定に活用できる

コンサルティングの現場など、業種や職種関係なく、さまざまなビジネスの現場でも意思決定の方法として活用できます。前述の「高品質で低コスト」など、議論する内容を決めた上で、メリット・デメリット、賛成・反対などの意見を出して、意思決定を行う材料にします。

物事のメリット・デメリットの違いが明確になる

議論の参加者それぞれが考えたメリット・デメリットを書き出していき、それらを確認することで議論の内容である物事にどのようなメリット・デメリットがあるのかを明確にすることができます。これにより深い議論が行え、意思決定に役立つ有益な意見を出せます。

意見を整理しやすい

メリット・デメリット、賛成・反対に分かれて議論を行うので、意見が整理しやすくなります。そして、これは1人で考える際にも活用できます。

反対意見を考える習慣が身につく

賛成と反対、両方について考えるので、プロコンの思考を繰り返すことで、反対意見についても考える習慣が身につきます。これにより正確で合理的な判断ができるようになり、判断スピードも向上します。

プロコンを用いる際のコツ

プロコンを効果的に活用するためには、いくつかのコツがあります。

プロコン表を用意する

横軸に「賛成意見・反対意見」「メリット・デメリット」と分けられたシンプルな表を用意します。意見の並び替えや消去をリアルタイムで共有するためにも、ホワイトボードや紙ベースではなく、タイピングしてモニターに映し出した方が効率的です。

作成例:高品質で低コストを実現するにはA社商品か、B商品か

商品名 メリット デメリット
A社 ・・・ ・・・
B社 ・・・ ・・・

可能な限り大人数でプロコンを実施

できるだけ多くの意見を出し合うことがプロコンの手法です。可能な限り多くの人数に参加してもらいましょう。

質より量

どんな意見でもいいのでたくさん出し合うことが重要です。意見の質よりも量が大切です。

意見の自由な表出

意見を出し合う際には、全ての参加者が自由に意見を述べられる雰囲気を作ることが重要です。ファシリテーターは、参加者が自分の意見を恐れずに表現できるように、積極的にサポートする必要があります。

意見のバランスを保つ

賛成意見と反対意見のバランスを保つことも重要です。どちらか一方に偏らないようにすることで、公平で客観的な議論が可能になります。

出された意見を数値化

意見が尽きたところで、全員で各意見を見て、それぞれの意見の重要度を数値化してみましょう。例えば5段階評価で評価付けし、重要度の高い順に並び変えましょう。 議論の結果を定量的に評価することで、より客観的な意思決定が可能になります。

結論を残った意見をもとにまとめる

賛成・反対、メリット・デメリット。双方の意見を見比べて、対応関係と思われる意見をそれぞれの側から消しましょう。そして残った意見から結論をまとめます。もし結論がまとまらないのであれば、最終的に賛成・反対もしくはメリット・デメリットどちらを今回は採用するのかを、メンバー全員で多数決してもいいでしょう。

ファシリテーターはムード醸成を

「こんな意見を出したら、勉強不足と思われるかもしれない」など参加メンバーが意見を出せないような状況は一番ダメです。どんな意見でも最終的な結論につながっていくなどメンバー全員が当事者意識を持てるようファシリテーターの役割は重要です。

まとめ

プロコンのフレームワークは、ビジネスシーンにおける意思決定を支援する強力なツールです。組織の様々なレベルで活用することで、より効果的な戦略を策定し、成功への道を切り開くことができます。また、教育現場やチームビルディングなど、多様な場面での応用も可能です。プロコンを活用することで、参加者全員が積極的に議論に参加し、最適な解決策を見つけ出すことができるでしょう。

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