SAPコンサルタントについて

sap

SAPとは


「SAP」はドイツを拠点とした世界で最大クラスのソフトウェアメーカー「Systemanalyse und Programmentwicklung」の略称で、
1972年にドイツで誕生し、長年に渡る開発と進化を経て、
現在では世界各国の多くの企業で導入されている、実績と信頼のあるERPシステムです。
SAP社が開発した代表的なERPパッケージの商品名としても知られ、高度な機能性と拡張性を備え、
企業規模や業種に合わせた柔軟な導入が可能であるため、世界中の企業から選ばれています。

SAPの特徴

SAPとは、経営資源を一元的に管理できるERPパッケージの1つです。
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業のヒト、モノ、カネ、情報という経営の四柱を統合的に管理し、あらゆる業務を効率化・高度化します。
企業の経営資源を的確に把握し、最適な意思決定を導く羅針盤のような存在なので、日本企業をはじめとして世界中の多くの企業が導入していることで知られています。

SAPの圧倒的シェアと実績

マイクロソフトやオラクルといった名だたる企業がひしめくERPパッケージ市場において、SAPは日本でも49%の企業が導入するなど、圧倒的な人気を誇ります。
1992年に日本法人が設立されて以来、数多くの企業がSAPを基幹システムとして導入してきた理由は、単なる業務効率化にとどまらず、企業全体を繋ぎ、革新へと導く力を持っているためです。

SAPが選ばれる理由とは

SAP社の主力商品は「SAP ERP」というパッケージソフト(最新版はSAP S/4HANA)ですが、
1つ前の世代の「SAP R/3」という製品で高い評価を得て圧倒的シェアを実現しました。

あらゆる基幹業務を
リアルタイムに一括処理

SAP以前の時代では、企業の基幹システムは、会計、在庫、購買、生産など、業務ごとに分断された縦割りシステムで運用されていました。
しかし、この縦割りシステムは各システムで個別に稼働しているため、以下のような大きな課題がありました。
・同じ取引情報が複数のシステムに記録されることとなり、データの重複や不整合が生じやすい。
・必要な情報を取得するために複数のシステムを操作する必要があり、業務全体の効率が大きく低下していた。
・リアルタイムな経営状況を把握することが困難だった。
ERPパッケージという概念を導入することにより、会計、在庫、購買、生産など、すべての業務データを一つのデータベースに集約することでデータの重複や不整合が解消され、業務全体の効率が大幅に向上しました。リアルタイムな経営状況を把握できるようになり、迅速かつ的確な意思決定が可能になりました。

自由なプラットフォーム

ERPを活用した業務改革は、アメリカでは1990年代から積極的に採用されるようになりましたが、当初は企業が独自のITシステムを開発し、保守や管理も行っていたため、非常にリソースやコストがかかるという課題がありました。
また、システムはハードウェアやOSなどに依存していたため、使用できる環境が限られていたことも問題でした。
その後、ソフトウェアメーカーからERPパッケージが発売され、SAP社をはじめ、大手ソフトウェア会社の開発するERPパッケージはオープンソースに対応しているため、ハードウェアやOSを気にする必要がなく、企業環境に応じて自由に導入することができます。
上記により、企業は自社でのシステム開発や人材育成にかかるコストを削減できるようになったため、EPRパッケージが急速に普及し始めました。

機械学習による業務の効率化

SAPでは業務をさらに効率化するために、AIを活用した機械学習を積極的に取り入れており、膨大なビッグデータの中から、高度なアルゴリズムを活用して学習を進めていくことで知識が増えます。
機械学習が進むことで得られる業種別のメリットは以下の通りです。

製造現場

品質管理のアルゴリズムに応用することができ、需要予測や予知保全にも使用できる。

経理・財務部門

ローンの承認やリスク評価、株取引といった業務にてアルゴリズムを活用することができます。

医療機関

特定のパターンを持つ患者のがんの早期発見に活用できる可能性に期待が寄せられています。

モジュール管理で業務を効率化

SAPは事業分野を「SAPモジュール」と呼ばれる単位で分割し、分離させたり連携させたりすることで、業務効率化やビジネス環境改善を実現しています。

会計モジュール

会計モジュールを構成している領域は「財務会計(FI)」と「管理会計(CO)」の2つがあります。
FIは外部会計や制度会計を担当しており、他のモジュールで発生した財務データを管理・集約して表計算ソフトへのデータ入力やアップロード作業を自動化する役割があります。
COは内部会計を担当しており、企業全体の調整や予算管理を最適化する役割があります。

ロジスティクス・モジュール

ロジスティクス・モジュールを構成するのが「販売管理(SD)」と「在庫管理(MM)」の2つがあります。
SDは販売管理の領域を担当し、販売データの入力を行わなくても各部門へデータを自動的に引き継ぐことができ、大幅な業務効率化を図れます。
MMは在庫管理の領域を担当し、品目マスタ・商品マスタ部品表の登録やメインテナンスの役割があります。MMを活用することで、手でデータ入力を行なう必要がなくなるため、在庫管理でありがちな誤入力を防ぐことができ、棚卸業務の効率化を図れます。

人事モジュール

人事モジュールは「人事管理(HR)」を担当し、従業員一人ひとりについて採用から退職するまでの部署移動や勤務時間など、人事管理をすべて担うことができます。
人事管理データは一般的にEXCELなどの表計算ソフトにより作成されますが、HRを活用すればデータを自動的にロードするため、効率的に人事管理を行えます。

その他のモジュール

「生産管理(PP)」「プロジェクト管理(PS)」「プラント保全(PM)」もSAPモジュールです。
PPは詳細計画とセットで管理されるもので、商品を生産する際に経営資源の最適化を行います。
「部品は内製と外注のどちらが良いのか」「部品をいつオーダーしたら良いのか」といった計画を実行できます。
PSは予定通りにプロジェクトを実行できるよう管理するモジュールです。
作業項目からプロジェクトを定義することが可能なため、他のモジュールから統合されたデータをリアルタイムで集計し実績を洗い出すことが可能です。
PMは機能場所の登録や変更、整備マスタなどを実行するモジュールです。
設備の保全業務を効率化することで計画業務を迅速に行うことが可能になります。

SAPコンサルタントとは

ITコンサルタントは、一般的にITシステムを活用して企業の経営課題を解決する専門家として呼ばれますが、
その中でもSAPのERPパッケージを専門とするITコンサルタントを総称して、SAPコンサルタントと呼びます。
SAPコンサルタントとは、SAPに関して専門的な知識を有するITアドバイザーのことを言います。
近年では、効率的な経営のためにSAPを導入する大手企業も数多くあり、SAPコンサルタントの需要も増しています。

SAPコンサルタントの役割

SAPコンサルタントの役割は大きく2つあり、「SAPシステムの導入コンサル」「システムを効率的に使用するためのカスタマイズ」です。
まず、導入コンサルでは、大きな企業であればSAPを導入する前にも他社のERPパッケージを利用しているケースが考えられるため、現在使用しているシステムやデータをSAPへと適切に移行させるためのサポートを行います。
業務系パッケージを初めて導入する企業には、導入前に業務分析を実施し、業務改革を提案する場合があります。
SAPは導入後にすぐに使えるテンプレートが充実していますが、業務内容に応じて必要なカスタマイズを実施することもコンサルタントの重要な役割となります。
定期的なシステム稼働後のアフターフォローも大切な仕事なので、ソフトウェアがバージョンアップした際にサポートしたり、使い方がわからないときなどはフォローアップを行うことは必須です。

SAPコンサルタントとSEの違い

「SAPコンサルタントの仕事内容はSEと何が違うの?」と思っている方も多くいらっしゃると思います。
実際に、SEからSAPコンサルタントに転職する方は多く、仕事内容は似ていると言えます。
しかし、SAPコンサルタントはより経営に近い位置で業務を行うため、ビジネスコンサルタントのような役割もあります。
SAPコンサルタントの仕事内容は、SAP運用を通じてクライアントの業務効率化やビジネス環境の改善に貢献する仕事と言えます。
要件定義により経営課題を解決することがSAPコンサルタントの役割です。
具体的な業務内容は、「クライアントの基幹システムを設計導入」「導入後の保守業務」です。
システムへの具体的な提案を行うため、プログラムの構成と納品がメイン業務のSEとは異なります。

SAPコンサルタントの魅力とは

専用コンサルタントとして貢献できる

一般的なコンサルタントは、さまざまなパッケージソフトに精通していることが求められます。
しかし、SAPの場合はシェア率が非常に高いため、専門コンサルタントとして成立します。
SAPという1つのシステムに集中することで、より高度で専門的なスキルを身に付けることができ、コンサルタントとしてキャリアアップを目指したい方には最適です。

クライアントは大手企業

SAP社のERPを導入している企業の多くが世界的に有名な大手企業です。
また、システム導入は1つの拠点だけでなく全社・全拠点に導入することが一般的なため、仕事で海外に出ていくこともあります。
大手企業のクライアントが求めるもの、抱えている課題をヒアリングして改善に貢献する仕事にやりがいを感じる方も多いです。
世界的に有名な大手企業の経営戦略に深く関わりながら、クライアントの経営課題を解決していく仕事内容に魅力と言えるでしょう。

上流のコンサルタントを目指せる

SAPコンサルタントは、SEに比べて上流工程から関わるケースが多いため、単にソフトウェアを導入するだけではなく、多くの業務要件をシステムに入れ、クライアントに快適なシステムを提供できます。
経営資源の管理をしていくサポートができるので、コンサルタントとして大きな成果が得られるでしょう。
将来的には上流コンサルタントへのキャリアアップにつながります。

SAPコンサルタントの年収

SAPコンサルタントを目指す方は特に気になるのが年収だと思います。
年収は担当する領域や経験年数、所属する会社などによって幅がありますが、一般的なIT職やコンサル職に比べると高額な600万円程度と言われています。
プロジェクトリーダーやマネージャークラスであれば1,000万円を超える年収の方もいらっしゃいます。
ERPパッケージを提供するSAPの日本法人「SAPジャパン」のコンサルタントなら、平均年収で1,065万円から1,259万円とさらに高額な年収とされています。
フリーコンサルタントであれば、能力次第で更なる年収アップも実現できるかもしれません。

SAPコンサルタントに関するよくある質問

SAPコンサルタントの人材は
不足しているのか?

SAP案件が急激に増加する一方で、求められる専門性が高く、習得したスキルは別の領域で応用が効きにくいことが原因だと考えられています。
このような理由より、SAPコンサルタントを目指す人が少なく、現役で活躍しているSAPコンサルタントに案件が集中していることも影響してると思われます。

SAPコンサルタントはつまらないのか?

SAPに特化した能力を望まれるため、幅広く成長や変化を実感したい方はつまらなく感じてしまうかもしれません。
しかし、現在SAPコンサルタントの需要が非常に高いため、キャリアを重視したい方には向いているかもしれません。
「自分の腕を試せる」「新たな知見を学び続けられる」と感じられる方であれば「つまらない」と感じることは少ないでしょう。

SAPコンサルタントの業務量は?

現状、SAPコンサルタントとして経験豊富な人材が少ないです。そのため、SAPコンサルタントの一人ひとりに案件が集まり、キャパオーバーや激務という印象が強いかもしれません。
一方で、人材が少ないことがSAPコンサルタントの市場価値を高くしている一因と考えられます。
SAPコンサルタントのニーズが高いことから、就業条件を取り決める際にSAPコンサルタントを希望すれば通りやすいかもしれません。

SAPコンサルに資格は必要なのか?

SAPに関わるコンサルタントのために「SAP認定コンサルタント」という資格があります。
内容はERPやSAPにまつわる領域のもので、日本語で受けられる試験だけで50種類以上あります。
資格を1つでも取得している人はSAPコンサルタントとして名乗ることができます。
もちろん、未経験からSAPコンサルタントへのキャリアシフトはかなり困難とみられていますが、ぜひ資格取得から挑戦してみましょう。

SAPコンサルに向いている人材とは?

SAPコンサルタントには、SAPに関する知見のほか、ERPパッケージソフト各種の設計・導入経験がある人が向いていると言えます。
「経理や会計等の業務経験」「企業のトップと信頼関係を築けるコミュニケーション能力」「課題を見つけ出し解決に導くリスクマネジメント能力」の能力がある方は向いている人物像と言えます。

SAPコンサルタントの将来性とは?

SAP社は今後も中小企業・中堅企業に向けたパッケージ開発や営業に力を入れると予測でき、2027年以降もSAPコンサルタントのニーズが下がることはないと言われています。
SAPコンサルタントはシステム設計や導入だけでなく、企業の経営戦略や業務改善に携わります。
その経験を活かしてSAP領域だけでなく、経営コンサルタントや業務改善コンサルタントといったキャリアパスを目指すことができます。

ようこそ、フリーランス・
副業人材が集まる
プロフェッショナルギルドへ

Yoakeに会員登録いただくと独立時のメリット・デメリット、税制面でのTipsを集約した資料のお渡し、クローズドコミュニティへのご招待、専属担当による非公開案件紹介など様々な特典がございます。独立からプロジェクトデリバリーまで充実のサポートをさせていただきます。