【フリーランスの税金】税金の種類と控除一覧!節税方法をマスター

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2024.02.08
  • コラム

フリーランスになると確定申告が必要です。次の確定申告までに必要な税務知識を身に着け、最大限の節税方法をマスターしましょう。このコラムではフリーランスに必要な税務知識、青色申告と税金・控除の種類について詳しく解説します。インボイス制度についても要件をまとめたので、参考にしてください。

フリーランスと個人事業主の違い

まずは混同されがちな「フリーランス」と「個人事業主」の違いについて説明します。
フリーランスとは、特定の会社や団体に属さずに業務を行う働き方を指す言葉です。会社員は会社と雇用契約を結んで働きますが、独立業務をするフリーランスはどこにも属さず、さまざまな顧客から仕事を請け負って生計を立てます。フリーランスとはあくまでも働き方を表す言葉であり、法律上の意味はありません。
一方で、個人事業主という言葉は、税法上の区分を意味しています。個人事業主とは「継続して事業をおこなう個人」のことで、税務署に開業届を提出して事業を営んでいます。開業届を提出して初めて個人事業主を名乗ることができ、一定の控除が適用される青色申告が利用できるようになります。青色申告は専従者給与や経費の面でも優遇を受けることができる申告方法です。個人事業主は法律上の言葉であって、働き方を意味する言葉ではありません。

フリーランスの税金事情

フリーランス人材には豊富な税金の知識が必要です。企業に所属している場合、税金は給与から天引きされるので特に意識することはありませんが、フリーランスには税金の申告から支払いまで自分で対応する義務があります。まず、フリーランスの税金事情の大前提を4つ解説します。

確定申告

企業からフリーランスに支払われるのは、給与ではなく報酬です。よって、ほとんどのフリーランスや自営業といった個人事業主に課せられるのが確定申告です。確定申告とは「毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続」です。例年、翌年の2月16日~3月15日が確定申告の期間で、これを過ぎるとさまざまな控除が受けられなくなります
国税庁によりますと、確定申告の対象者は年間の所得金額から、所得控除を差し引いた金額がプラスになる人です。ただし「年収2000万円以下で、1か所からしか給与をもらっておらず、副業での所得が年間20万円以下の人」、年間400万円以下などの条件があるものの「国内において公的年金等の支払を受けている人」、追加申告が必要になる場合があるものの「控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合」などは確定申告の対象外だとされています。

青色申告と白色申告どちらがいいのか?

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。結論から言うと、青色申告では最大65万円の控除が適用されるため、確定申告はメリットが多い青色申告の方がおすすめです。白色申告では、このような控除はありません。申告内容が異なるので、それぞれ説明します。
青色申告では、原則として複式簿記での帳簿が必要です。複式簿記とはお金の出入りを取引と捉え財産の増減を記す方法です。白色申告は簡易帳簿でよいとされています。簡易帳簿とはお金の出入りのみを記す方法です。
青色控除・白色控除どちらも納税手続きの一環で、源泉徴収の還付や控除が受けられるといったメリットがあります。青色申告は、白色申告より手間がかかる一方で、所得から経費を差し引くことで所得税対策になる、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる、損失を翌年以降3年間繰り越せるといった節税効果が高いのが特徴です。
ここで注意点です。青色申告を行うには、その年の3月15日までに青色申告申請書を届け出る必要があります。特例として、年明けの1月16日以降の開業の場合は、事業開始日から2カ月以内の申請書提出が認められています。

個人事業主なので事業所得となる

フリーランスは、税務区分上「個人事業主」です。そのため、業務委託契約を結ぶ企業などからの報酬は、給与ではなく「売上」となり、必要経費と青色申告であれば青色申告控除を差し引いた額が「事業所得」となります
事業取得とは「総収入金額から必要経費と青色申告控除を差し引いた金額」です。総収入金額には事業による売上だけでなく、次のような雑所得も含まれます。
・金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
・商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
・商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
・空箱や作業くずなどの売却代金
・仕入割引やリベート収入

フリーランスの税金支払い日はいつ?

会社員であれば税金は毎月の給与や賞与から決まった額を天引きされますが、フリーランスの場合は、複数の税金をそれぞれの期限内に支払います。支払い方法や期日がそれぞれ異なるので支払い忘れには要注意です。
さらに、国民健康保険・国民年金などの社会保険料の支払方法や期限は、自治体によってばらつきがあります。基本的には、まとめて前納したり、月毎に支払ったりと選択可能です。

フリーランスが支払義務のある税金一覧

フリーランスが支払わなければならない税金には、いろいろな種類があります。自分が支払う税金はすべて自分で把握しておく必要があります。それを怠るとうっかり支払いをし損ねてしまい、悪質な場合は追徴金を支払わなければならなくなる可能性もあります。フリーランスが支払うべき税金の種類と納付時期や支払い方法について理解を深めましょう。

所得税

所得税は収入額に対して課税される税金です。所得が大きくなればなるほど税率が高くなる累進課税制度が採用されています。
会社に所属している会社員も所得税の課税対象ではありますが、フリーランスの場合は自分で税金の計算をして申告しなければいけません。これが確定申告です。会社員の場合には会社が月々の給料から源泉徴収し、納税も会社がまとめて行ってくれます。

計算方法

所得税は「課税所得×税率-控除額」で求められます。課税所得は収入から経費や各種控除を差し引いたもので、控除できる金額などは確定申告の方法によって変わります。所得税の税率は累進課税であり、以下の表のように課税所得に応じた税率が採用されています。

課税取得(1000円未満切り捨て) 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97万500円
330万円超695万円以下 20% 42万7500円
695万円超900万円以下 23% 63万6000円
900万円超1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超 45% 479万6000円

納付時期と支払方法

個人事業主の場合、確定申告の期限時期はおおむね毎年2月中旬から3月15日中旬頃までです。期限期間内に確定申告をすることで納税すべき金額を税務署に申告し、その後納税をするという段取りです。納税の仕方としては以下のようなものが用意されています。
・振替納税
・e-TAXによる納付
・クレジットカードで納付
・QRコードによるコンビニエンスストアで納付
・金融機関または税務署の窓口で現金納付

住民税

住民税は、1月1日時点に住んでいる自治体に納める税金です。会社員でもフリーランスでも納税しなければいけません。ただし所得税と同様、会社員は会社が住民税もまとめて納めているケースがよくあります。フリーランスの場合は自分で納付する必要があります。

計算方法

住民税に関しては、自分で計算する必要はありません。確定申告で申告した課税所得に基づいて計算された金額が納税通知書で届くためです。参考までに計算式を解説しておきます。
計算方法:(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額
税率は道府県民税が一律で4%、市区町村税が一律6%となっています。

納付時期と払い方

住民税には普通徴収と特別徴収の2種類があり、フリーランスは普通徴収、会社員は特別徴収が適用されます。普通徴収の場合、6月頃に納税通知書が自宅へ届くので、その通知書をもとに直接納付をします。納付の方法は自治体によって多少異なることもありますが、基本的に所得税と同じです。税務署に直接納付できますし、金融機関やコンビニエンスストアを介した納付もできます。

個人事業税

個人事業税とは、事業で得られた所得に応じて都道府県に支払うことが義務付けられた地方税です。すべてのフリーランスが対象ではなく、業種や条件によって支払う必要が出てきます。
個人事業税では、年間290万円の事業主控除が認められているため、事業所得が290万円を下回る場合には事業税の課税対象とはなりません。つまり納付対象は、年間収入が290万円以上の人です。収入がその金額を超えない場合は、個人事業税の対象にはなりません。また納付義務があるかは業種ごとに異なっており、該当しない業種であればどれだけ収入が多くても個人事業税の対象外となります。さらに事業内容に応じて税率が異なっています。

計算方法

個人事業税の計算方法は、課税所得×税率です。年間290万円の事業主控除が一律で控除されるので、所得が290万円に満たない方は対象外となります。税率は事業の内容によって3~5%まで変化します。主な業種を以下の表にまとめてみました。

税率 業種
5% コンサルタント、物販業、保険業、広告業、デザイン業、士業、医師など
4% 畜産業、水産業など
3% あんま・マッサージ、指圧など

納付時期と支払方法

所得税の確定申告を行っていれば、自分から申告をする必要はありません。確定申告のあとに納付書が送られてくるので、それとともに納付を行います。納付は年2回で、それぞれ8月末日と11月末日が期限です。納付書に現金を添えて納付するほか、口座振替やクレジットカード払いなども可能です。

消費税

消費税は、フリーランスや法人会社経営者が考えなければならない税金です。すべてのフリーランスに適用されるものでもなく、創業2年目以降で一定条件を満たすことで支払い義務が生じます。消費税は所得ではなく売上に対して課税される仕組みで、課税対象の売上が年間1000万円を超えた場合に初めて発生します。原則的な判定基準は前々年度の売上と定められています。

計算方法

消費税を計算する際には「本則課税」という方法が使われます。計算式は以下です。
計算方法:売上によって預かった消費税-仕入れで支払った消費税
ほかには「簡易課税」と呼ばれる方法もあります。簡易課税制度とは、基準期間(個人事業主の場合は前々年)の課税売上高が5000万円以下の場合に、納税事務負担を軽減するために設けられた制度です。簡易課税においては、受け取った消費税額に一定の割合(みなし仕入率)を乗じて計算します。みなし仕入率のパーセンテージは業種によって分かれていますが、フリーランスの多くが属する「(飲食店業以外の)サービス業」は第5種事業に分類され、みなし仕入率は50%となっています。
簡易課税における支払消費税の計算方法は以下のようになります。なお、簡易課税制度を適用するには「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出していなければいけません。
計算方法:売上によって預かった消費税-売上によって預かった消費税×みなし仕入率

納付時期と払い方

消費税の支払い対象者となった場合にのみ、「消費税の課税事業届出書」を管轄税務署に提出し、消費税の確定申告を行います。フリーランスの確定申告期限は翌年の3月末と定められており、1~12月の納税額を算出し申告と納付を済ませます。
消費税は国税と地方税に分けられますが、どちらも同じ書類で申告できます。また、前年度の消費税納付金額に応じて、消費税中間申告による納税が発生する、と納税回数が異なる点に注意してください。また売り上げが減ったことにより再び免税業者に戻る際ためには、納税義務者ではなくなったことを示す届出書を提出する必要があります。

国民健康保険料

国民健康保険は、社会保険などの保険制度に属さない方が加入するものです。社会保険との大きな違いは以下の2つです。扶養人数に応じて支払額が大きく変わるため、自分の家庭環境においてどの程度の負担になるかをしっかり把握しましょう。
・世帯谷で保険料が算出される
・加入者の人数・年齢・収入などにより保険料が決定する

計算方法

国民健康保険料の計算方法や税率は市区町村によって異なるので、具体的な数字を示すことはできませんが、おおまかに説明すると、所得金額に対してさまざまな基礎控除を差し引き、扶養家族全員分の保険料を足し合わせた結果が支払総額となります。

納付時期と払い方

国民健康保険料の納付時期は自治体によって異なります。普通徴収と特別徴収の2種類が用意されており、前者は原則として毎月支払うことになります。後者についても規則はさまざまです。
支払い方法も自治体ごとに異なっていますが、おおむね以下のような方法です。
・金融機関による口座振替
・コンビニエンスストアでの納付
・クレジットカードによる納付
・電子マネーによる納付

国民年金

日本に在住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金です。個人事業主としてフリーランスをしている場合は第1号被保険者(国民年金加入者)に分類されるため、保険料は自分で納める必要があります。

計算方法

国民年金保険料は毎年見直しが行われます。保険料は一律であり、売上や所得によって違いが生まれることはありません。まとめて前払いすることにより割引が適用されるので、お得となります。

納付時期と払い方

国民年金保険料の納付期限は「納付対象月の翌月末日」と定められています。
納付方法としては、口座振替やクレジットカード払い、各種金融機関や郵便局への納付などが用意されています。

消費税とインボイス制度の関係

2023年10月より開始されたインボイス制度。インボイス制度は適格請求書等の交付、保存を義務付ける制度です。インボイス制度によって、適格請求書には以下9項目の記載が義務付けられました。
1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
5.軽減税率の対象である旨の表記
6.適用税率ごとに区分した合計額
7.インボイス制度の登録番号
8.適用税率
9.適用税率ごとの消費税額の合計
適格請求書の省略版「適格簡易請求書」でも代用できます。適格簡易請求書では項目が省略され、必要な記載項目は以下の7つです。
1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.軽減税率の対象である旨の表記
5.適用税率ごとに区分した合計額
6.インボイス制度の登録番号
7.適用税率または税率ごとの消費税額の合計
小売業、飲食業、写真業、タクシー業など不特定多数を相手にする場合は、「適格簡易請求書」の要件を満たしたレシートや領収書でよいとされています。

インボイス制度がフリーランスに与える影響

一般的には課税売上高が1000万円以下のフリーランスが多いため、消費税の納税を免除されている「免税事業者」がほとんどと言われています。免税事業者の条件は、基準期間の課税売上高が1000万円以下です。逆に1000万円を超えていると課税事業者になります。
適格請求書は、課税事業者のみ発行できます。つまり、免税事業者である多くのフリーランスは、適格請求書を発行できないということです。インボイス制度では、受注先が適格請求書でなければ、発注先は仕入税額控除ができないので、免税事業者のフリーランスは取引を打ち切られる可能性もあり、多くのフリーランスへの影響が懸念されています。そのため、免税事業者があえて課税事業者になる方法もありますが、課税事業者になれば納税義務が生じます。

今すぐできるフリーランスの節税対策

フリーランスが節税できるのは一般的に所得税のみですが、住民税や国民健康保険料などは所得をもとに算出されます。所得税の確定申告で経費や控除をもれなく申請することで大きな節税効果が得られます

確定申告できる経費をおさらい

事業にかかる経費はすべて確定申告で経費計上できます。事業に利用した交通費や消耗品費、接待交際費などは漏らさず経費計上しましょう。自宅を一部、もしくは一日のうち一定の時間、事業に使う場合は、家賃や水道光熱費、通信費なども経費の対象となります。また、事業に関わる税金も租税などとして経費に計上できます。経費計上できる税金は次の通りです。
・個人事業税
・消費税
・固定資産税
・自動車税
・不動産取得税
・登録免許税
・印紙税

控除制度を最大限活用

個人事業主の所得の算出方法は「総収入額-(経費+青色申告特別控除)=所得」です。つまり控除制度を最大限に生かすことで、所得の減額につながります。

確定申告時に漏らさず記載すべき所得控除制度一覧

控除制度をしっかり把握して、漏れなく控除を受けられるようにしましょう。また、大前提として控除には、税額控除と所得控除があります。まずは所得控除から一覧にして説明します。

基礎控除

基礎控除は、確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の1つです。フリーランスにも会社員にも適用されます。
合計所得金額2400万円以下の場合、控除額は48万円です。合計所得金額が2400万円を超えると所得に応じて控除額が減ります。2500万円超で基礎控除が適用されなくなります。

配偶者控除

納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、配偶者控除が受けられます。ただし、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。条件は、以下の4つです。
1.民法の規定による配偶者であること
2.納税者と生計を一にしている
3.年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
控除額については納税者本人の所得から、以下の表を基に算出されます。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1000万円以下 13万円 16万円

配偶者特別控除

配偶者特別控除は配偶者控除を受けられない人が該当する控除制度です。年間の所得が1000万円以下の人で、年間所得133万円以下の民法上の配偶者と生計を共にする人が対象です。ほかにも要件があるので、国税庁ホームページを確認しましょう。控除額については下記の表を参考にしてください。

配偶者の合計所得金額 控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超950万円以下 950万円超1000万円以下
48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円

扶養控除

扶養控除はその名の通り、扶養する親族がいるときに受けられる控除です。扶養する親族として認められる要件は下記の4点にすべて当てはまる場合のみです。
1.配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
控除額は下記の表の通りです。また、同居老親等の「同居」には、病気などで長期入院している高齢者も当てはまります。しかし、老人ホームへの入所の場合は、別居とみなされます。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

社会保険料控除

社会保険料控除とは、納税者本人や生計を一にする配偶者、親族の社会保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。社会保険料控除は割と幅広い人が利用できる控除で、確定申告をしていない人でも、確定申告期限の3月15日までに証明書を提出した場合は控除を受けられます。前提となる社会保険・控除の要件は以下の通りです。
1 健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
2 国民健康保険の保険料または国民健康保険税
3 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
4 介護保険法の規定による介護保険料
5 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
6 国民年金基金の加入員として負担する掛金
7 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
8 存続厚生年金基金の加入員として負担する掛金
9 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金または納金等
10 労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料
11 地方公共団体の職員が条例の規定によって組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で、一定の要件を備えているものとして所轄税務署長の承認を受けた制度に基づきその職員が負担する掛金
12 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の公庫等の復帰希望職員に関する経過措置の規定による掛金
13 健康保険法附則または船員保険法附則の規定により被保険者が承認法人等に支払う負担金
14 租税条約の規定により、当該租税条約の相手国の社会保障制度に対して支払われるもの(我が国の社会保障制度に対して支払われる当該租税条約に規定する強制保険料と同様の方法ならびに類似の条件および制限に従って取り扱うこととされているものに限ります。)のうち一定額

生命保険料控除

生命保険控除は、生命保険料・介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に、受けられる所得控除です。最高で12万円の控除が受けられますが、これは対象となる保険に年間12万円以上支払っている場合のみです。
実際に支払った掛け金によって控除額が決定する制度で、新契約か旧契約かによっても控除額が異なります。手続きは、保険会社から送られる確定申告用書類を確定申告の際に提出するか、それをもとに必要項目を確定申告書の該当欄に記載するか、というシンプルなものです。

新契約

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払い保険料等の全額
2万円超4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

旧契約

年間の支払保険料等 控除額
2万5000円以下 支払い保険料等の全額
2万5000円超5万円以下 支払保険料等×1/2+1万2500円
5万円超10万円以下 支払保険料等×1/4+2万5000円
10万円超 一律5万円

地震保険料控除

地震保険に加入している人が掛け金に応じて受けられる控除です。特例として特定の損害保険に加入している人も控除対象となります。申請方法は生命保険控除と同じく、年末に届けられる確定申告用の書類を確定申告の際に提出、もしくは必要項目を該当欄に記載する形式です。 受けられる控除額は下記の表を参考にしてください。

区分 年間の支払保険料の合計 控除額
(1)地震保険料 5万円以下 支払い金額の全額
5万円超 一律5万円
(2)旧長期損害保険料 10万円以下 支払い金額の全額
10万円超2万円以下 支払金額×1/2+5000円
2万円超 1万5000円
(1)(2)両方がある場合 (1)(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)

医療費控除

医療費控除はその年の1月1日~12月31日までの間に申告者本人や生計を一にする配偶者や家族のために10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超える医療費を支払った場合に受けられる控除です。実際に支払った医療費から、医療保険や高額療養費・出産一時金などの支給額を差し引き、さらに10万円を引いた額が控除対象となります。所得税の確定申告に必要書類を添付することで控除が受けられますが、所得の確定申告をしない人でも医療費のみの確定申告が可能です。その場合は、所得や医療費として支払った金額に基づき算出される額の還付金が受けられます。ただし、医療費控除や還付金とみなされるには、細かい要件があります。国税庁ホームページや各健康保険組合で確認しましょう。

寄附金控除

「ふるさと納税」「クラウドファンディング」が普及したことにより、注目を集めるようになったのが寄付金控除です。寄付金控除は特定の法人や団体などへの寄付でも適用されます。控除内容は「寄付金額-2000円」ですが、寄付金額には所得に基づいて上限があります。ふるさと納税やクラウドファンディングの場合、返礼品を受け取ると実質2000円以上の利益がある場合がほとんどです。節税効果も高く、社会的意義もあるため利用する人が年々増えています。ただし、クラウドファンディングでは、寄付金控除の対象とならないプロジェクトもあるため、控除目的の場合は確認が必要です。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済掛金控除とは、iDeCo(イデコ)や小規模企業共済への掛け金に基づいて受けられる控除です。小規模企業共済とは、フリーランスや自営業者といった個人事業主のための退職金制度のようなものです。小規模企業共済も私的年金を積み立てるiDeCoも全額掛金控除となり、全ての掛け金が控除されます。節税効果を目当てに、小規模企業共済やiDeCoを始める人も少なくありません。

ひとり親控除

ひとり親控除は、納税者がひとり親である場合に受けられる控除です。婚姻歴の有無や性別は問われません。生計を一にする、子どもがいる所得が500万円以下のひとり親に対して、一律35万円の控除が適用されます。
子どもの年齢に上限はありませんが、その年の総所得金額等が48万円以下という条件があります。また「ひとり親」とみなされる親自身が親族などの扶養に入っている場合にも適用外です。

寡婦控除

寡婦控除は、夫を亡くした所得が500万円以下の妻、つまり寡婦にのみ適用される控除です。扶養する子供がいない寡婦でも27万円の控除が受けられます。ただし、ひとり親控除との併用が認められないため、扶養する子どもがいる場合は、ひとり親控除が優先されます。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、働きながら特定の教育機関で学生生活を送る学生のための控除です。所得から一律27万円の控除が受けられます。対象となるには修業期間や年間の授業時間数などに規定があります。
勤労学生控除は年間の所得が75万円以下の場合に適用される控除ですが、給与所得控除や基礎控除を合わせると、年間の収入が130万円以下であれば所得税の課税対象になりません。学生自身がフリーランスの場合は、所得の確定申告時に必要書類を提出する必要はありますが、一般的なアルバイトなどの場合は給与を支払う企業が行う年末調整で控除が適用されます。

障がい者控除

納税者本人や生計を一にする家族に障がいがある場合に対象となるのが障がい者控除です。障がいの程度などによって、控除額に差があります。また、障がい者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用されます。障がい者控除の区分は国税庁ホームページによると次の通りです。

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者(注) 75万円

(注)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税自身、配偶者、その納税者と生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている人です。

雑損控除

雑損控除とは、自然災害や盗難などにより資産に影響を受けたときに対象となる控除です。雑損控除の対象になる資産や事由についてはさまざまな要件があるので、国税庁のホームページを参考にしましょう。雑損控除の適用される場合、控除金額は下記の計算式に基づいて算出されます。
・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

税務控除 大幅な節税効果あり

税額控除とは、課税所得金額に対し算出した所得税額から、税率に乗じてさらに一定金額の控除が受けられる制度です。税務控除にも、さまざまな種類がありますが、一般的に知られていて、フリーランスの人が対象となりやすいのが、住宅ローン控除と配当控除です。内容を詳しく見ていきましょう。

住宅ローン控除

住宅ローン控除の正式名称は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」です。住宅ローン減税とも呼ばれ、一定の要件を満たした住宅を購入、新築、増改築した場合に受けられる控除として知られています。控除の対象となるには、確定申告書の提出の際に一定の書類を添付する必要があります。
また、会社員など給与所得者は、1年目に確定申告をすると、2年目以降は年末調整でこの控除を受けられますが、フリーランスの場合は毎年書類を提出する必要があります。控除を受けるには複数の条件があるため、確定申告前に国税庁のホームページをしっかり確認しましょう。

配当控除

日本国内に本店のある法人から剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、証券投資信託の収益の分配などを受け取ることにより、確定申告において総合課税の適用を受けた配当所得に対して受けられるのが配当控除です。
外国法人から受ける配当等や申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得については適用できないので注意が必要です。また、控除金額についても、所得総額や配当総額によって計算式が異なります。手続き自体は確定申告時に必要書類を添付するだけとシンプルなものですが、税理士や税務署への税務相談を利用するなどして、しっかり申告するようにしましょう。

最後に

会社員時代は、年末調整の書類を記載するだけで済んでいた確定申告は、フリーランスになると自分で行わないといけません。何も知らないままでは大きな苦労を伴います。節税につなげるためにも、しっかりした知識と理解が必要です。税理士を利用することで、税金に関する作業コストを抑えることも可能になります。かなり低く抑えることが可能になります。
このコラムを通じて、今一度税金への理解が深まり、結果、本業に集中できる環境が整えばと思います。

参考・出典:国税庁・厚生労働省・中小機構

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