フリーランスの社会保険加入ガイド|必要性・加入条件・メリットを徹底解説

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2025.02.23
  • コラム

目次

1. はじめに

フリーランスとして働く際、社会保険に加入するべきかどうか悩む方も多いのではないでしょうか。会社員の場合、健康保険や厚生年金に自動的に加入しますが、フリーランスは自分で加入手続きを行い、適切な保険を選択する必要があります。社会保険は、病気やケガ、老後の生活を支える大切な制度です。本記事では、フリーランスが加入できる社会保険の種類や条件、メリットについて詳しく解説します。

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2. 社会保険の種類とフリーランスの加入条件

2-1. 国民健康保険(公的医療保険)

加入対象

フリーランスや個人事業主は、基本的に「国民健康保険(国保)」に加入します。これは、日本国内に住む人のうち、職場の健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入していない人を対象とする公的医療保険です。自治体が運営しており、加入手続きは住民票のある市区町村の役所で行います。
例外として、以下の人は国保に加入できません。
• 会社員や公務員で健康保険に加入している人
• 被扶養者(配偶者や親族の健康保険の扶養に入れる場合)
• 生活保護を受給している人

保険料の決まり方

国民健康保険の保険料は、各自治体によって異なります。保険料は前年の所得に基づいて算出され、次の要素で決まります。
• 所得割(前年の所得に応じて決まる)
• 均等割(世帯の加入者数によって決まる)
• 平等割(世帯ごとに一定額が加算される)
• 資産割(不動産などの資産額に応じて加算される ※一部自治体のみ)

支払いの負担軽減策

• 減免制度:前年より所得が大幅に減少した場合、市区町村に申請すると保険料が軽減されることがあります。
• 分割払い:支払いが困難な場合、分割納付の相談が可能です。

病気やケガの際の補償

• 医療費の自己負担は原則3割(小学生以下は2割負担、75歳以上は1割または2割)
• 高額療養費制度:1か月の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される
• 出産育児一時金:妊娠4か月以上の出産で約42万円の一時金が支給される
• 葬祭費:加入者が亡くなった場合、自治体によって一定額の葬祭費が支給される

2-2. 国民年金(公的年金)

加入対象(第1号被保険者)

フリーランスや個人事業主は、「国民年金の第1号被保険者」 に分類されます。これは、20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある公的年金制度です。
会社員や公務員は厚生年金(第2号被保険者)に、自営業者の配偶者などで扶養されている人は年金の保険料負担がない第3号被保険者に分類されます。

例外的に加入しなくてもよい場合

• 海外に居住している日本人(ただし、希望すれば任意加入可能)
• 障害年金を受給している人(障害の程度による)

保険料の支払い義務と未納リスク

国民年金の保険料は一律の定額制です。
• 2024年度の月額保険料:約16,980円
• 毎年4月に見直されることがある

保険料の支払い方法

• 毎月納付(口座振替、クレジットカード払い、納付書払い)
• 前納制度(6か月・1年・2年分をまとめて支払うと割引あり)

未納のリスク

国民年金の保険料を未納すると、以下のリスクが発生します。
• 老後の年金受給額が減る(最低10年の納付期間がないと年金を受給できない)
• 障害年金・遺族年金を受け取れない可能性がある

保険料の免除・猶予制度

収入が少ない場合、以下の制度を利用して保険料の負担を軽減できます。
• 全額免除・一部免除制度:前年の所得が一定以下の場合、保険料の一部または全額が免除される
• 納付猶予制度:50歳未満の人で収入が少ない場合、一時的に納付を猶予される(将来追納可能)

年金を受け取るための条件

• 10年以上の納付期間が必要
• 65歳から老齢基礎年金を受給可能(繰り上げ・繰り下げ受給も可能)

将来的な年金受給額

• 満額受給の場合:約65,000円/月(2024年度)
• 40年間(20歳~60歳)すべての期間で納付した場合に満額となる
• 未納期間があると、その分だけ受給額が減少する

年金額を増やす方法

• 付加年金(月400円を追加で納付すると、年金額が増える)
• 国民年金基金(将来の年金額を上乗せするための制度)
• iDeCo(個人型確定拠出年金)(老後資金を自分で運用しながら積み立てる制度)

2-3. その他の選択肢

1.任意加入できる社会保険制度

フリーランスは国民健康保険や国民年金に加えて、将来の保障を強化するための追加制度を活用することができます。
◆フリーランス協会の保険
フリーランス協会は、フリーランス向けの福利厚生制度を提供する団体です。会員になると以下のような保険を受けることができます。
特徴:
• 賠償責任保険(仕事上のトラブルで損害を与えた場合の補償)
• ケガ・入院時の補償(所得補償保険に似た制度)
• 弁護士費用保険(契約トラブルなどで弁護士を利用する際の補償)
• 福利厚生サービス(健康診断やスキルアップ支援など)
加入条件:
• フリーランス協会の年会費(12,000円/年)を支払うことで加入可能
◆国民年金基金(年金の上乗せ制度)
国民年金基金は、フリーランスが公的年金に上乗せできる制度です。厚生年金の代わりに利用されることが多く、将来の年金受給額を増やすことができます。
特徴:
• 毎月の掛金を支払い、60歳以降に終身年金として受給可能
• 加入は60歳未満のフリーランス・自営業者のみ
• 掛金は所得に応じて決められる(上限月額68,000円)
• 掛金は全額所得控除(節税効果あり)

2.退職金や資産形成の制度

◆小規模企業共済(フリーランスの退職金制度)
小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主のための「退職金制度」として活用できます。
特徴:
• 毎月の掛金(1,000円~70,000円)を積み立て
• 廃業時や65歳以降に退職金として受け取れる
• 掛金は全額所得控除(節税効果が大きい)
◆iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)は、フリーランス向けの自分で運用する年金制度です。老後資金を準備しながら、所得控除による節税メリットもあります。

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3. 加入前に確認すべきポイント

フリーランスとして社会保険に加入する際には、保険料の負担や制度の選択肢を慎重に検討することが重要です。ここでは、社会保険加入前に確認すべきポイントについて詳しく解説します。

3-1. 支払うべき保険料と節約方法

1. 国民健康保険(国保)の保険料の違い

国民健康保険の保険料は、住んでいる自治体ごとに異なるため、加入前に確認が必要です。
• 所得に応じて決まる(前年の所得が高いほど保険料も高くなる)
• 自治体によって保険料の計算方法が異なる
• 世帯の人数(扶養家族がいるかどうか)でも変動
節約方法:
• 所得を抑える工夫(経費計上を活用して課税所得を減らす)
• 自治体のシミュレーターを活用(自治体の公式サイトで試算できる場合が多い)

2. 国民年金の保険料と軽減制度

国民年金の保険料は、全国一律で決まっています。
• 2024年度の保険料:月額 約16,980円
• 年間:約203,760円
節約方法:
• 前納制度の活用(半年・1年・2年分をまとめて払うと割引あり)
• 免除・猶予制度の利用(収入が少ない場合、全額免除や一部免除が可能)
• 付加年金の活用(月400円を追加で払うと、将来の年金額が増える)

3. 減免制度の活用

フリーランスは収入が変動しやすいため、収入が大幅に減った場合は保険料の減免制度を活用できます。
◆国民健康保険の減免
• 前年より収入が大幅に減少した場合、市区町村に申請すると保険料の軽減措置を受けられる
• 失業や災害などの特別な事情がある場合、特例措置でさらに減額される場合あり
◆ 国民年金の免除・猶予制度
• 全額免除・一部免除:前年の所得が一定以下の場合、保険料の一部または全額が免除される
• 納付猶予制度:50歳未満の人は、一時的に保険料の納付を猶予してもらえる(将来追納可能)

3-2. 自分に合った保険制度の選び方

フリーランスは会社員と違い、社会保険の選択肢が多いため、自分のライフスタイルに合った制度を選ぶことが重要です。
◆ 配偶者の扶養に入れる場合の条件
フリーランスの収入が少ない場合、配偶者の健康保険の扶養に入ることができる場合があります。

1. 扶養に入る条件

• 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
• 収入が給与所得ではなく、事業所得や雑所得の場合、年間の「所得」(売上から経費を引いた金額)が108万円以下

2. 扶養に入るメリット

• 健康保険料の負担がゼロになる(国民健康保険に加入するより負担が少ない)
• 国民年金の第3号被保険者になる(年金保険料の負担なし)

3. 注意点

• 年収が基準を超えると扶養から外れ、国民健康保険に加入しなければならなくなる
• 将来の年金額が少なくなる可能性がある(厚生年金ではなく国民年金のみの加入となるため)
◆ 法人化して社会保険に加入する選択肢
フリーランスが一定の収入を超える場合、法人化して厚生年金と健康保険に加入するのも選択肢の一つです。

1. 法人化のメリット

• 厚生年金に加入できるため、将来の年金額が増える
• 健康保険の保障が手厚くなる(傷病手当金や出産手当金が適用)
• 会社の経費として保険料を計上できる(節税効果あり)

2. 法人化のデメリット

• 社会保険料の負担が増える(会社が半額負担するが、フリーランス時代よりコストがかかる)
• 設立や維持にコストがかかる(登記費用・税理士費用など)
◆ 民間の保険を活用するケース
フリーランスは公的保険だけではリスクカバーが不十分な場合があるため、民間の保険と組み合わせることで、より安定した保障を確保できます。

1. 所得補償保険(仕事ができないときの補償)

• 病気やケガで働けなくなった際に収入を補償する保険
• 加入時に月額の補償額を設定できる(例:月10万円~30万円の補償)
• 国民健康保険には「傷病手当金」がないため、フリーランスには特に重要

2. 医療保険・がん保険(治療費の負担軽減)

• 入院や手術を受けた際の医療費をカバー
• 国民健康保険ではカバーしきれない先進医療などの費用を補填できる

3. 生命保険(万が一の際の保障)

• 家族がいる場合、死亡時の生活費を補うために生命保険に加入するのも有効

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4. 社会保険に加入するメリットまとめ

4-1. 病気やケガの際の保障

フリーランスが国民健康保険に加入すると、医療費の自己負担が軽減されます。医療機関を受診する際、健康保険証を提示することで、自己負担は原則3割となります(小学生以下は2割、75歳以上は1割または2割)。高額な治療費が発生した場合も、高額療養費制度を活用すれば、1か月の自己負担額が一定額を超えた分は還付されます。
例えば、標準的な所得(年収約370万~770万円)の場合、1か月の自己負担額は約80,100円+αが上限となります。これにより、長期入院や手術が必要な場合でも、経済的な負担を軽減することが可能です。フリーランスは傷病手当金が受けられないため、医療費負担を抑えるためにも公的保険の活用が重要です。

4-2. 年金受給の安心感

フリーランスは厚生年金に加入できず、国民年金のみとなるため、老後資金を確保するためには、国民年金の継続的な納付が必要です。2024年度の国民年金の満額受給額は月額約65,000円で、受給には最低10年間の納付が必要です。40年間納付すると満額受給となりますが、厚生年金と比べると受給額は少ないため、老後の生活に不安が残ります。
そのため、将来の年金額を増やす手段として、付加年金や国民年金基金の活用が有効です。付加年金は月額400円の追加納付で、「200円×納付月数」の年金額が増える仕組みであり、コストパフォーマンスが良い制度です。国民年金基金は、フリーランス向けの年金上乗せ制度で、終身年金として支給され、掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果も期待できます。

4-3. 出産・育児や障害時の保障

フリーランスが国民健康保険に加入している場合、出産時に出産育児一時金が支給されます。支給額は1児につき42万円(産科医療補償制度対象外の医療機関では40.8万円)で、出産費用の補助となります。会社員向けの出産手当金(産休中の給与補填)はありませんが、一定の経済的支援を受けることが可能です。
また、フリーランスが病気や事故で重度の障害を負った場合、国民年金の障害年金を受給できます。障害の程度に応じて、1級(年間約98万円+子ども加算)または2級(年間約78万円+子ども加算)の基礎年金が支給されるため、万が一の際の生活費を確保できます。さらに、死亡した場合は遺族年金の支給対象となり、配偶者や子どもがいる場合、遺族基礎年金として年間約78万円+子ども加算を受け取ることができます。

5. まとめ

フリーランスは社会保険に加入しなくても働くことはできますが、病気や老後のリスクに備えるためにも、適切な保険を選択することが重要です。国民健康保険や国民年金の基本的な仕組みを理解し、国民年金基金やiDeCoを活用することで、将来の備えを万全にしましょう。早めの対策が、安心してフリーランスとして働くための鍵となります。

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