フリーランスは法人化すべき?後悔しないための判断基準と最適なタイミングや手順を解説

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2025.01.17
  • コラム

法人化は、個人事業主から法人へと組織形態を変えることで、事業の規模や体制を大きく変える可能性を秘めています。しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、決断に迷う方も少なくありません。

本記事では法人化について具体的に解説し、法人化があなたにとって本当に必要なのかどうかを判断する上でのヒントを提供します。
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〈法人化とは?〉

法人化とは、個人事業主が会社を設立し、その会社を通して事業を行うことです。個人事業主と法人の大きな違いは、事業を行う主体が「人」から「会社」に変わる点です。会社は法律上、人と同じように権利や義務を持つことができます。

法人化のメリット

・節税効果:法人税の税率は、所得税の税率よりも低い場合があるため、節税効果が期待できます。また、事業に関する経費を会社で負担できるため、所得から控除できる範囲が広がり、節税につながるケースもあります。

・社会的信用度向上:法人として活動することで、顧客や取引先からの信頼度が向上する可能性があります。特に、大企業との取引や金融機関からの融資を受ける際には、法人であることが有利に働くことがあります。

・経費処理の幅広さ:個人事業主では経費として認められないものも、法人では経費として処理できる場合があります。例えば、代表者の自宅の一部を事務所として利用する場合、家賃の一部を経費として計上できることがあります。

・事業拡大のしやすさ:法人化することで、資金調達がしやすくなり、事業を拡大するための投資が可能になります。また、従業員を雇用し、組織を構築することも容易になります。

・社会保険加入:法人化することで、従業員として社会保険に加入できる可能性があります。

法人化のデメリット

・設立費用:会社設立には、登記費用や印鑑証明書取得費用などの費用がかかります。また、事業内容によっては、許認可を取得するための費用も必要となる場合があります。

・維持費:毎年の決算処理や税務申告など、維持費も発生します。

・経理業務の増加:法人化すると、個人事業主よりも複雑な経理処理が必要になります。そのため、経理業務を外部に委託したり、経理ソフトを導入したりする必要があります。

・責任の重み:法人代表者は、会社の債務に対して無限責任を負う場合があります。そのため、会社の経営が悪化した場合、私的な財産で会社の借金を返済しなければならないリスクがあります。

・手続きの煩雑さ:法人化には、会社設立の手続きだけでなく、税務申告や法定福利費の加入など、様々な手続きが必要になります。

・税務申告の複雑化:法人税の申告は、所得税の申告よりも複雑になり、専門家のサポートが必要になる場合があります。
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〈法人化すべきか迷っているあなたへ:判断基準を明確にしよう!〉

法人化は、フリーランスにとって大きな決断です。メリットもデメリットも様々で、一概に「法人化すべきだ」とは言えません。
そこで、法人化すべきかどうかを判断する際の具体的な判断基準を3つの視点から解説します。

1. 収入規模:法人化が適しているのはどのくらいの収入から?

一般的に、年間売上高が一定額を超えると、法人化による節税効果が期待できるケースが多くなります。ただし、節税効果だけでなく、事業規模や将来の展望も考慮する必要があります。法人化を検討する目安として、年間売上高が数百万~数千万円程度から検討を始める方が多いようです。しかし、売上高だけでなく、利益率も重要な要素です。売上高が大きくても利益率が低い場合は、法人化によるメリットが少なくなってしまう可能性があります。

2. 事業規模:個人事業主と法人の事業規模の違い

個人事業主と法人では、事業規模が大きく異なります。
〇個人事業主:
・事業規模が比較的小さく、個人で全ての業務をこなすことが多い。
・資金調達が難しい場合がある。

〇法人:
・事業規模が大きく、組織的に業務を行うことができる。
・資金調達が比較的容易な場合がある。

法人化することで、より大規模な事業展開が可能になります。ただし、組織を運営するためのコストや手間も増えることを覚えておきましょう。

3. 将来の展望:事業拡大や従業員雇用を検討している方へ

〇事業拡大:
・法人化することで、資金調達が容易になり、事業を拡大するための投資が可能になります。
・ブランド力向上や、大企業との取引も視野に入ってくるでしょう。

〇従業員雇用:
・法人化すると、従業員を雇用しやすく、組織を構築することができます。
・人材の確保や育成といった新たな課題も発生します。
将来、事業を大きく拡大したいと考えている場合や、従業員を雇用して組織を構築したいと考えている場合は、法人化が有効な手段となるかもしれません。
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〈法人化の最適なタイミング:消費税、所得税、事業安定性の観点から〉

法人化は、事業の規模やステージによって、そのメリットを最大化できるタイミングが異なります。ここでは、消費税、所得税、そして事業の安定性という3つの観点から、法人化の最適なタイミングについて解説します。

1. 消費税の観点から

個人事業主の年間売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。法人化することで、この消費税の納税義務を一時的に免除できる可能性があります。
・法人化による消費税の免除:
法人設立後、一定期間は消費税の免税事業者として扱われるケースがあります。ただし、この免除期間や条件は、法改正や税制の変更によって変わる可能性があるため、最新の税法を確認することが重要です。

・インボイス制度への対応:2023年10月から開始されたインボイス制度では、消費税の仕入れ税額控除を受けるためには、適格請求書発行事業者となる必要があります。法人化は、このインボイス制度への対応策の一つとして検討されることもあります。

2. 所得税の観点から

・所得税と法人税の比較:個人事業主は事業所得に対して所得税が課税されますが、法人は法人税が課税されます。一般的に、法人税率は所得税率よりも低く設定されているため、法人化することで節税効果が期待できます。

・分配と再投資:法人化すると、利益をすべて取り出すのではなく、一部を会社に留めて再投資することができます。これにより、事業拡大のための資金を確保しやすくなります。

・退職金制度:法人化することで、代表者や従業員に退職金を支給できるようになります。

3. 事業の安定性から

・事業の安定化:
法人化は、事業の安定化に繋がると考えられています。法人という組織形態は、個人事業主よりも法的安定性が高く、取引先からの信頼も得られやすくなります。

・リスク分散:
個人事業主の場合、事業の失敗は個人の財産に直接影響を及ぼしますが、法人であれば、原則として会社の財産のみが責任範囲となります。

法人化の最適なタイミングのまとめ

法人化の最適なタイミングは、以下の要素を総合的に判断して決める必要があります。

    • 事業規模: 売上高、利益額、従業員数など

 

    • 将来の展望: 事業拡大、新規事業への参入など

 

    • リスク許容度: 経済的なリスクに対する耐性

 

    • 税制の動向: 消費税、法人税などの税制改正

 

  • 専門家のアドバイス: 税理士や弁護士などの専門家からのアドバイス

 

法人化が検討されることが多いケース

    • 事業が安定し、一定以上の売上高がある場合

 

    • 事業を拡大し、大規模な投資を行いたい場合

 

    • 従業員を雇用し、組織を構築したい場合

 

 

〈フリーランスが法人化する手順〉

フリーランスから法人化する場合、いくつかの手続きが必要になります。ここでは、一般的な流れを解説します。

1. 会社形態を決める

会社を設立する際、最初に決めるべきことは「会社形態」です。日本には、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4つの会社形態がありますが、一般的に選択されるのは株式会社と合同会社です。

〇株式会社を選ぶべきケース:
日本で最も一般的な会社形態です。資本金が1円から設立でき、柔軟な経営が可能です。

  • 大規模な事業展開を目指す
  • 多くの資金調達が必要
  • 社会的な信用性を高めたい
  • 将来、株式公開を検討している

〇合同会社を選ぶべきケース:
株式会社よりも設立手続きが簡素で、少人数での経営に適しています。

  • 少人数で事業を始めたい
  • 設立費用を抑えたい
  • 柔軟な経営を行いたい
  • スタートアップ企業

会社形態の選択は、事業の成功を左右する重要な決断です。事業規模、将来の展望、税制上のメリットなど、様々な要素を考慮して自社の状況に合った最適な形態を選びましょう。

2. 会社名を決定する

商号登記を行い、正式な会社名を決めます。既に使用されている商号は使用できないため、事前に商標検索を行いましょう。

3. 定款を作成する

定款は、会社の憲法のようなもので、会社の目的、組織、運営に関する基本的なルールを定めたものです。

4. 役員を決める

代表取締役、取締役などを決め、それぞれの役割分担を明確にします。

5. 資本金を準備する

会社法改正により、株式会社の最低資本金は1円となりました。ただし、銀行口座開設や事業規模によっては、ある程度の資本金が必要となる場合があります。

6. 事務所を定める

会社の登記上の本店所在地を定めます。自宅を事務所にすることも可能です。

7. 設立登記を行う

定款、役員の就任承諾書など、必要な書類を揃えて法務局に提出します。

8. その他の手続き

  • 銀行口座の開設: 法人名義の銀行口座を開設します。
  • 税務署への届出: 法人設立届出書などを提出します。
  • 社会保険への加入: 従業員を雇用する場合、社会保険に加入する必要があります。

9. 個人事業の廃止手続き

個人事業を行っていた場合は、税務署への廃業届出など、必要な手続きを行います。
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〈法人化後の注意点:スムーズな経営のために〉

法人化後、スムーズに事業を運営していくためには、様々な点に注意が必要です。ここでは、決算、税務申告、株主総会、記帳、社会保険、法人カードの利用など、法人化後に特に注意すべき点について解説します。

1. 決算と税務申告

  • 期末処理の重要性: 毎期、期末処理を正確に行うことで、正確な決算書を作成し、税務申告に備える必要があります。
  • 税理士への相談: 税法は複雑で頻繁に改正されるため、税理士に相談しながら正確な申告を行うことが重要です。
  • 各種税金の納付: 法人税、消費税、住民税など、納期を守って各種税金を納付する必要があります。

2. 株主総会

  • 開催義務: 株式会社の場合、定款で定められた期間内に株主総会を開催する必要があります。
  • 議事録作成: 株主総会の議事録を作成し、保管しておくことが重要です。
  • 決議事項: 株主総会では、配当、役員の選任解任など、重要な決議事項を審議します。

3. 記帳

  • 正確な記帳: すべての取引を正確に記帳することは、税務申告や経営分析に不可欠です。
  • 複式簿記: 法人は原則として複式簿記を採用する必要があります。
  • 会計ソフトの活用: 会計ソフトを活用することで、記帳作業の効率化を図ることができます。

4. 社会保険

  • 従業員への加入義務: 従業員を雇用する場合、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険に加入する必要があります。
  • 手続きの煩雑さ: 社会保険の手続きは複雑なため、社労士に相談することをおすすめします。
  • 保険料の負担: 社会保険料は、事業主と従業員で折半して負担します。

5. 法人カードの利用

  • 経費精算の効率化: 法人カードを利用することで、経費精算の手続きが簡素化されます。
  • 利用規約の確認: 法人カードには、利用限度額や利用可能な範囲などが定められています。
  • 不正利用防止: 法人カードの不正利用には十分注意する必要があります。

〈まとめ〉

法人化は、フリーランスの事業を新たなステージへと導く可能性を秘めています。しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、慎重に検討することが重要です。 この記事で紹介した情報を参考に、ご自身の状況に合わせて、最適な判断をしましょう。弊社サービス「Yoake」では、フリーランスの方が持つお悩みを解決するお手伝いをさせていただきます。気になった方は、ぜひ無料会員登録をお願いいたします。
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